新学習指導要領の国語に新聞活用が明記されたこともあり、新しい教科書には新聞の読み方や記事の読み比べなどを通じて、読解力を養うコーナーが登場した。
国語5年の教科書の一つは、ノーベル化学賞を受賞した下村脩(おさむ)さんの記事を示し、見出しやリード文、結論から先に書く「逆三角形の構成」といった特徴を紹介。さらに、北京五輪に出場した競泳の北島康介選手のレースを報じた読売新聞と他紙を並べ、引用する発言の違いなどを考える内容にし、「書く人が違えば印象も変わる」(編集者)ことを示した。
別の6年の教科書では、スポーツで「楽しさ」と「勝利」のどちらを重視するかについての意見を新聞への投書の形で掲載、書き手の主張やその根拠などを考える内容にした。
新潟県中越沖地震の際に号外を発行したり、地域に役立つ情報を掲載し続けたりした新聞を取り上げた5年社会の教科書も登場した。ここでは、取材記者の話や編集会議などの新聞づくりの様子も含めて、計11ページにわたって紹介した。別の5年社会の教科書でも、「号外」について説明する記述や、同じ日の新聞の朝刊1面を見比べたものがあった。
授業での新聞活用は、日本新聞教育文化財団のNIE(教育に新聞を)実践指定校が2009年度で536校に上るなど、多くの学校で取り入れられてきている。
神奈川県相模原市立鶴の台小学校の花田美智代教諭は今年度、6年の国語の授業で一般紙とスポーツ紙を比べて見出しや各面の特徴を学んだり、コラムを読んで段落ごとに題名を付けたりした。「長い文章も抵抗なく読めるようになっており、新聞は有効」と花田教諭は話している。
(2010年3月31日読売新聞)