重症心身障害児(者)施設で暮らす入所者が快適に生活できるように様々な研究・実践に取り組んでいる施設職員の優れた業績を顕彰し、活動を励ます第6回読売療育賞が10月に大阪市で開かれた重症心身障害療育学会で決まりました。最優秀賞は、北海道済生会西小樽病院みどりの里の「超重症児病棟における音環境の研究」に決まり、賞牌(しょうはい)と助成金50万円を贈りました。また、敢闘賞(助成金各30万円)には、小羊学園つばさ静岡(静岡市)、びわこ学園医療福祉センター野洲(滋賀県野洲市)、旭川荘療育センター児童院(岡山市)の3施設が選ばれました。
みどりの里では、ベッド上に精密騒音計を設置して、騒音の変化を測定する一方、ビデオカメラで周辺環境を撮影。この結果、呼吸管理などが常に必要な超重症児は、一般の重症児に比べて高い騒音レベルにさらされていることが分かりました。医療機器の作動音やケアのための往来が激しいことなどが理由と考えられ、音環境の設定に十分に注意する必要があると結論づけました。
敢闘賞のつばさ静岡は、口から食べるのは困難と思われた利用者向けに「まとまりペースト食」を開発し、食の楽しみにつながると評価されました。食材をすりつぶしただけの「ペースト食」では、喉に張り付きやすいため、二種の増粘剤を調合してツルンとした食感を出すことに成功、彩りや盛り付けの工夫もこらして、利用者が心して食事を楽しめるようにしました。つばさでは、在宅で重症児を世話している家族向けに、まとまりペースト食を販売する計画も進めています。